わたしのいきかた手帳は、2024年度グッドデザイン賞を受賞いたしました。
グッドデザイン賞は、日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨のしくみです。60年以上にわたり「Gマーク」とともに広く親しまれながら、デザインによって、暮らしや社会をよりよくしていくための活動をしています。
■「わたしのいきかた手帳」について
「わたしのいきかた手帳」は、自分のこれから先の医療や介護の希望について話し合う「アドバンス・ケア・プランニング(愛称名:人生会議)」を 行うために大切な、”わたし”が大切にしている事を改めて考え、その思いを大切な人や支援を受ける医療介護の専門職者に知ってもらうための手帳です。
■デザイナー×研究者
思考を見える化するデザイン・しかけ
超高齢社会の進行に伴い、人生の最終段階における医療・介護の希望を考えて大切な人や医療従事者に伝えておく”ACP(アドバンス・ケア・プランニング)”の必要性が高まっています。
ACPを進めるためのしかけとして、全国的に行政機関等も「私のノート」といった同様の冊子を作成しています。それらはA4版が多く持ち運びには適さない点や、情報量が多すぎるまたは限定的すぎる、医療に特化しすぎたものがほとんどで利用者目線で作成されていると言い難いものも少なくありません。ヒアリングや調査研究、幾度の改良を重ねて完成しました。
■だれも どこでも、ACPを身近に
これまで利用者も支援者も「声にすることが難かっ
た」、あまりオープンでなかったACPを、例えば笑顔の
絶えないグループワークが生まれる『これからのACP』
をデザインしています。
■審査員コメント
人生の最終段階のことは、対話を始めることも躊躇われたり、聞いてはいけないのではないかという恐れを持っている人も少なくない。この手帳は、医療や介護従事者目線ではなく、それらの領域につなげつつ、いかに利用者が最後まで自分の人生を全うするのを後押しするか、という視点でつくられている点が評価された。気持ちの揺らぎを書き留められたり、決め切らなくても良いというデザインは、その間にこそある豊かな感情の揺れや思いを伝え、対話を生み出すことが実感を持って感じられる。多くの人がアクセスしやすくなるようさらなる普及を期待したい。